すでに弊社でご相談をいただいているお客様にはお伝えしておりますが、弊社は旧耐震マンションのご購入をおすすめしておりません。

さらに令和7年11月に国交省より国土交通省の「住生活基本計画」では、旧耐震の住宅ストックを令和12年(2030年頃)までに解消する方針が明記されています。

これを踏まえて再度、旧耐震についてご説明させていただければと思います。


1. 耐震基準の違いによる安全性の不安

耐震基準は

  • 旧耐震基準(1981年5月以前)は震度5程度の地震で「倒壊しない」ことを前提。
  • 新耐震基準(1981年6月以降)は震度6強〜7でも「倒壊しない」ことを前提。

となっており、実際、東京都では震度5以上の地震が発生しておりません。
今後、震度5以上の地震が起きた際にどの程度の被害になるか予想がつきません。

また、過去に起きた震災を例にあげてみますと、阪神・淡路大震災では旧耐震建物の被害率が63.5%、新耐震は23.1%にとどまりました(倒壊・崩壊+大破・中破の数字)。

👉旧耐震は大地震に耐えられる保証がないため、安全を考えると大きなリスクです。

内閣府防災 住宅等の耐震化の推進について 昭和56年以前に建築された住宅の被害


2. 耐震診断・補強が進んでいないケースが多い

耐震診断を受けていないマンションが多く、「リスクが不明な状態」で放置されていることもあります。
補強工事は数千万円単位の費用がかかり、管理組合の合意が必要です。実施されていない場合は将来的な安全性が確保できません。

👉 診断や補強がない旧耐震物件は、安心して住めるとは言えないのです。


3. 資産価値・売却の難しさ

中古市場では「旧耐震」というだけで買い手が敬遠しやすく、売却価格が下がる傾向があります。
金融機関によっては住宅ローンがつかないケースもあり、現金購入を求められることもあります。そのため購入希望者がさらに限られ、売却は一層困難になります。


4. 国の方針:令和12年までに旧耐震ストック解消

国土交通省が発表した「住生活基本計画」では、令和12年(2030年頃)までに耐震性が不十分な住宅ストックを解消することが目標に掲げられています。
つまり、国の政策として「旧耐震は市場からなくしていく」方向性が明確になっており、今後ますます資産価値は低下する可能性が高いです。

審議会・委員会等:第67回住宅宅地分科会 - 国土交通省


まとめ

旧耐震マンションは価格が安く魅力的に見えることもありますが、

  • 安全性の不安
  • 補強・診断の未実施
  • 資産価値の低下とローン制約
  • 国の方針によるストック解消

といった理由から、基本的にはおすすめできません。